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2017.5.5 連作短編 『裏庭のバジル』 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 new











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姪が立体的な構造に感心を持つらしく、積み木が面白いと言います。
姪が音楽づくりに興味を示したら、音符の一個一個をバラしてその音楽の構造の立体性を見聞きするように――と、ちゃぶ台をひっくり返して、湯呑を畳に置いてからギターを弾きたいです。







 


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ギターアンプシミュレーターを比較してみた ! ~その2 Fractal Audio VS Kemper VS 生アンプ~ | DTM Review


16分音符で延々とギターの一個の音を弾き続けていると、そのうち、拍子の表裏のどちらを弾いているのか分からなくなってきます。ちょうどゲシュタルト崩壊に似た症状でもあるようですが、そんなときに思います――考えるな、手と耳で演奏しろ。

美空ひばり嬢いわく、『500回の練習と、1回の本番』です。







裏庭のバジル 36 

「先日おうかがいしたように、あの木の映像がありましたな」と加護は言った。「今と比べると、だいぶ若い頃の様子でしたが」

 店主が初めて加護に連絡を取ってから数日後、今度は加護から店主のもとに電話が掛かってきた。通話中、加護は自身の所有していたビデオと店主の自宅にあった映像の違いに触れて話を進めた。
 加護の所有していたビデオには、クジラの座礁現場や、チサトの吐瀉する場面が収録されていなかった。『さばくのクジラ』と題された絵本の内容や、イエスと名付けられた木の外見、そして、チサトの背中が露出する場面と、チサトの母親の姿もまた収録されていなかった。クジラの座礁現場にあった生々しい血肉やチサトの吐瀉する様子が陶芸展の館内映像の内容に不適切であったのはもちろん、絵本にまつわる会話の内容にしても展の主旨には合っておらず、それらの撮影シーンがビデオに収録されていないのは当然のことだった。またイエスの木にしてみても、植物倫理的な批判の起きる恐れから映像の公表は望ましくなく、チサトの母親を撮影した映像については、陶芸展の主旨に関わらず、初めから母親本人が映像の使用を許可していなかった。
 対して加護の所有していた映像には、焼成の長時間にわたる作業風景と、素焼きをした陶器をチサトが投げ壊す映像が収録されていた。陶芸展の会場で放映する用途に合わせて内容が編成されていたわけだが、薪の爆ぜる音や、作業者らの足音や、作陶風景の映像をただ淡々と時間をかけて放映したのは、それが陶芸展の会場の主題性に見合っていたからだった。焼成作業の臨場感が生々しく伝えられており、ドキュメンタリーとしての価値が高かったのだ。それと同様、素焼きを終えた作品を投げ壊す工程にしても、加護の作陶における特徴的な様式として紹介しておく価値のあるものだった。そして、またもうひとつ特徴といえば、チサトの上気した表情がカメラにはっきりと捉えられていたが、加護自身、その映像を個人的な趣味の範疇において陶芸展の会場に放映することを良しと考えていた節があった。
 そうしてしばらくのあいだ彼らは、それぞれの手元にあった映像の内容の違いに触れて意見をみじかく言い合った。加護の話には撮影当時の工房の様子が織り交ぜられていて、チサトの奔放な人柄が垣間見える逸話で話のオチが付くことが何度かあった。加護の笑いにつられて店主も笑った。
 だが、途中で話がどう転んだところで、ひとたびイェフスの木の話題に戻れば、二人の会話の調子に微妙な変化が起きた。受話口を通して、夜の静まりが店主の耳元に細く吹き出してくる。店主は、自宅から羽織ってきたダウンジャケットのフードを頭にかぶせて首元までジッパーを手早く引き上げ、「いまも成長を続けているんですか?」と、率直な疑問を投げた。そしてそれから彼は聞きかじりの知識を交えて、それとなく加護に話を促した。「枝と枝の相性のようなものが関係してくる、という話ですが」
「ええ、じつは、あのあとも何種類かの果物の枝を接ぎましてな」と、答えて加護は自身の過去を振り返り、明瞭な声で言った。「それでも、何の拒絶も起こさずに成長を続けたんですよ」
 加護の言った“拒絶”の指す意味は理解できたが、それがどれほど特殊な状態であるか店主には見当が付かなかった。一本の木に数種類の果物の枝を接いであるにもかかわらず、とくに何の遺伝的な問題も起きることなく種の共存が続いている。それを無類の神秘と見て取るか、非人間の薄気味わるい特異現象と捉えるか、店主にはその両者に明らかな違いが感じられない。
「あの木が他の色々な樹種を受け入れるのは、あの木の特有の性質のように思えてきます」そう言って加護は更に言葉をつづけた。「どんな樹種ですら受け入れるように思えてくるんです、もちろん、実際には例外もありましたが」
 店主は考えを巡らせながら言った。「もしかすると、これは加護さんに対して、失礼にあたるかもしれませんが」と、そこで言葉を切って静かに息を吸う。
「どうぞ、おっしゃってください」と加護が応じる。
「そうお思いになられることを、加護さんご本人が望んでいらっしゃるということでしょうか」
「どうでしょうな」と、加護は微かに笑い、そのあと間髪を入れず「幸い、僕は幻覚を必要としておりませんので」
 そのとき店主は加護が意図的に話題を“幻覚”にすり替えたものと直感した。ささやかな愛想を込めて店主が適当な相槌を打つと、一方の加護が声を落として言った。
「チサトの夫があなたに話したとおり、あの木には幻覚作用があります」
 その加護の静かな言葉には独白にも似た響きがあった。「正しく言えば、木ではなく、種子と根に何かしらの幻覚成分が含まれているようです」
 店主は、以前の通話中に挙げた話題とその内容の中から実になりそうな話を振り返った。「セガワ君が言うには、輸入検査を通るのが難しい木だという話でしたが」
「そうでしょうね」と、加護はあっさりした口調で答えた。「その特殊な性質に対する認識を人が持たないうちは、当然、誰にも気づかれずに検査を通るでしょう。まして、それが“小さな種や何か”であったとすれば尚更です」
 すると途端に、話がきな臭くなってくる。そのとき店主の頭に浮かんだのは、一冊の絵本に描かれていた印象的な一場面と、その絵本の巻末に付属していた“袋とじ”の中身だった。
「どこであの木を手に入れられたんですか?」と、店主は好奇にまかせて訊いた。
「あのビデオの中で私が言っていたとおり、どこにでもあるんですよ」と加護は答えた。
「山の中に、ですか?」
「普段よく見掛けますよ」
 店主は加護の口ぶりの些細な変化を聞き取り、さっと好奇を押し殺して相槌を打った。
「僕には必要ありませんが、その幻覚を必要とする者は必ずいるはずです」と加護は言った。「それを必要とする者は、誰にも教わらず木の性質に気付いて、自宅に持ち帰るでしょう――」
 店主は加護の言った「誰にも教わらず」というその一点につよく不可解を感じたが、ただ静かに相槌を打って加護の話の段落を待つことにした。
「――といっても、その木を人目に晒すのを誰も良しとは考えない。そこで、日照環境の整わない場所を選んでそこに木を植えるわけですが、それがかえって良くない、日差しが足らず木の成長に影響が出る」
「影響が出る」と、店主は注意を引く気で言った。「それもセガワ君の話していたとおりです」
「ユニークな木だと思いますよ」と加護は言った。「あの木が植わっている山の中には特有の植生があるようで、どうやら、樹勢のつよい木が一本も植わっていないようなんですな」
 どういうことですか、と店主は訊いた。
「あの木にとって不都合となる木がちかくに一本も生えていないんです」
「一般的にそういうものでしょうか」と店主は言葉を探しながら言った。「たとえば雑木林には、いくつかの種類の木が“ごったに”生えているでしょう」
「人の目にそう見えているというだけのことで、やはり雑木林の植生にも何か秩序のようなものがあるんだと思いますよ」
「それは、秩序が自然に作り出されるということですか?」
「そのとおりです。大体をいえば、自然林の美しさには人の手が加わっていないですからな」
 店主は、ひどく曖昧に自然林の様相を思い浮かべた。
「僕の他にも、木を自宅に持ち帰った者がいるでしょうな」 加護は声を落としてもういちど言った。
「私の自宅のまわりにそんな木が何本も植わっているかと思うと、正直、気が落ち着きませんよ」店主は吐き出す思いで言った。
「管理なさることですよ」と加護は返した。「どの樹種の木で生垣を組んだにせよ、どのみち木の管理をし続けることにはなります。ですから、その手間を省くには、業者に管理を依頼するか、生垣ではなく……そう、木柵か金属フェンスをご自宅のまわりに立てておくしかありません」
 それを聞いて店主は迷わず言った。「それが、なぜか私自身、あの木を切ろうとは考えていないんです。切るのが面倒というわけではありませんし、生垣を植える費用のことでセガワさんに義理を感じているわけでもないんです。――ただ、どういうわけか、あの生垣の手入れを続ける気でいるようでして」そう言って店主はどこか照れくさそうな笑いを漏らし、「“いるようでして”というのも妙な話ですが」
「結構なことです」と、加護は笑い声を上げた。「木というのは簡単に伐採できますよ。ですから、そうしない理由を何かお持ちでらっしゃるなら、そのまま木を生やし続けておくのが一番です」、それから加護は声を少しだけ落して「それに僕に言わせていただくなら、木は、おたくに正しい時間を与えてくれるはずです」
「と言いますと?」
「おたくを正しい時間の経過の中に留めておくための指標のひとつになるんです、その、生垣そのものが」
 店主は関心の声を小さく上げた。
「僕らは、実時間とは違った体感時間というものを知覚します。ですが、自然の中で成長をつづける木はそうではありません」と加護は淀みない口調で言った。「健全な環境下にある木といえば、その大体が昼と夜の規則的な成長を一箇所の土の上で長いあいだ続けますからな」
 店主はそのとき、いつか加護の言った“標”という言葉を思い返していた。
「余談ですが、あのビデオに水源林が映っていたでしょう」と、加護は更に続けて言った。「あのあと、ハイキング・コースをつくるため、と言って、林を伐採したんですよ、観光振興課がですね。そうしたら、近くにあったブナの大木が次々と枯れてしまいました」
 店主は呆けたような声を漏らし、二本目以降の木がドミノの碑のように倒れていく様子を思い浮かべた。「木を切ったのが原因ですか?」
「詳しいことは分かりませんが、木を切る以前とくらべて地中の水分量が変わったのかもしれません」と加護は答えた。「もしくは何らかの病原菌か、虫か何かでしょうな」
「ブナの大木とおっしゃいましたか?」
 店主は、木が倒れていく様子を実際に見たことが過去に一度も無かった。
「ええ」と加護は短く答えた。
「大木が、そう簡単に枯れるものですか?」
「簡単には枯れないでしょうが、やはり枯れはしますよ」と加護は答えた。「以前、古いクヌギ――聞いたところでは、樹齢が百年は悠に超えていたという話でしたが、その木が枯れ死した原因は、カミキリムシの幼虫でした」
 加護は店主の感心めいた相槌を聞いたあと、「あっけない最期でしたが、しかし、あれはあれでなかなか見ものでしたよ」
 大木の倒れる様子が店主にはうまく想像できず、「見ものだったでしょうね」と、ただ調子を合わせて口先にそう溢した。
「木が枯れる前の、一、二年のあいだ、大量のカブトムシや蝶々なんかが集まって来たんですが、それは要するに、クヌギの樹液が外に漏れ出していたからなんです。発見者が気付いたときにはもう、木は“虫食いの穴だらけ”になっていたわけですな」
 昆虫の群がるクヌギの木の噂を聞き付けて現場を訪れた地元の子達の中には、カミキリムシの幼虫を気味悪がって二度と昆虫採集に来なかった子たちが多くいた。
 カミキリムシの幼虫には店主も幼い頃の見覚えがあった。色味はカブトムシの幼虫と似ているが、形状ひとつを見れば比べるまでもなく違う。
 クヌギの木はその後、木材としての利用価値が無いものと判断され、チェーンソーで小切りにされたのちに焼却処分となった。その話を聞いて店主は、水源林に生えていたというブナの木の枯れ死と、何らかの幼虫との関連性を思い、イェフスの木の特性と、虫の這いまわった木の、いったいどちらが不気味なのかと考えた。
 ほどなく話は一端の終わりに差し掛かった。加護は自身の所有するビデオの視聴を店主に勧めた。もともと店主は通話の最後にその願い出をするつもりだった。加護の手元にあった映像の内容を知ったところでセガワチサトの行方に見当を付けられるのでは無いが、そうしてチサトを話題に選んでおけば加護の機嫌を損ねることなく加護やチサトの過去の話が聞ける。店主にはその目的があった。店主自身の対人関係を見ても、そこに加護やチサトをのぞく職業陶芸家は一人もおらず、ちょうど無名俳優の出演する映画やテレビのドキュメンタリー番組にも似た性格の話を期待できるように思ったのだ。
 午後四時の滲みかけた空が店主の自宅のリビングの窓の遠く向こうにある。加護は夕食の材料を取りに菜園に向かうと言って電話を切った。一方の店主は携帯電話をリビングのソファに置いて、それから寝室に入ってクローゼットの前で身支度を始めた。友達の家に遊びに行った息子の帰りを待って、町の駅前にある中華料理屋で息子と食事を取ることにした。
 夕食のメニューを考えながら、ふと店主は自家用車の購入を思い立った。バスや電車で移動する日々に飽きたのではないし、これといって特に不便を感じているのでもない。だからこそ彼にはそれまで車を持つ必要がなかった。ところが何のきっかけもなく、自宅の敷地に駐車スペースを設けてそこに車を停めておくことの家庭像に淡い憧れを持ったのだった。

 のちに店主はその自家用車を手放し、自宅から駐車スペースにかけて家を増築してそこで駄菓子屋を開くのだが、町道に接するセメントの敷地に当たり障りのない小さな昆虫を見かけたとき、彼は感情の変化を自覚することなく弾けるような笑いをみじかく上げた。自宅の周囲に巡らしてあった生垣の一部を切り払ったのは店主ではなく、彼の息子だった。




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手作りの移動式の壁二枚(合わせて70㎏)と、取り外しのできる吸音材です。
両面テープで張り付けないといけないものと考えていましたが、壁の表面に張ったパンチカーペットと吸音材が(どういう原理によるものか正しくは分かりませんが)吸い付き合っていますので、接着テープは要りませんでした。吸音材は、残り8枚。
この壁の配置の良し悪しの判断がまだ付きませんが、声の残響音が壁に吸収されてはいるようです。録音時の調音を気にしなくて良いのであれば、簡易的な壁とその壁の設置場所の変更によって、ある程度の吸音効果は得られそうです。――歌い手を壁で囲っておく必要があるなら、あともう一枚の側壁づくりにくわえて天井壁をどうするか。(前方の側壁は無しにする
このまま上手く眠れそうなので、今日はここまで。







 


Schecter Blackjack SLS C-1 FR-S Electric Guitar







 

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RNP8380Eです。
目当ての音楽機材を買い足して音質変化を聴き取ると、世のギタリストやベーシストが機材の盗難に遭って血の気が引くことに対して、僕なりの理解が出来るようにはなります。(それと共に、出音にこだわりをつよく持つ演奏者の客観的視点が欠けているとき、当人自身の機材に対するこだわりがその視点の欠如と深く関係している場合もあるのだろう――と、そんなふうにも思えてきます。

【 ジャムズファクトリー 楽器(ギター)盗難/紛失情報 】